広告β:トヨタがCMをやめない理由とか雑考
トヨタがなぜ今でもTVCMの絨毯爆撃をしているのか考えてたのだが、
そこにはやはりある程度の合理性があるのだろうなと思う。
TVCMをはじめとしたマス広告には不思議な合意形成能力があって、
ターゲット以外のところに作用する力も結構大きい。
たとえばクルマなら、愛する子供と奥さんの意見も聞くだろうし、
そのとき彼ら(彼女ら)の意見だってとても重要になる。
(※彼らがクルマに詳しいかどうかはあまり重要ではない)
そんなときに、クルマに興味のない彼らはどこから情報を得るか。
また、数年に1回程度のクルマ購買時期だけに勝負をかけるのは
リスキーで、可能な限り事前に意志を決めておいてもらいたい。
買う頃には、なんとなく決めておいてもらえると都合がいい。
できれば、子供の頃から好意的になってもらえていると助かる。
買うほうの身としても、買った商品がどうでもいいものだとは
思いたくないから、世間で受け入れられてる(ように見える)商品は
都合がいい。この辺はリピート欲につながる可能性もある。
加えて、特にセールスマンがいたり、棚を奪い合うような業種では、
「TVCMを大量投下する」という行為そのものがひとつの指標になって
セールスマンにハッパをかけたり、棚を確保する力になったりする。
最近ではだいぶ弱まったが、セールスマンとお客さんの間で
「CMでやってるアレ」的な、話の肴みたいな効果も多少はある。
BtoB的な業種であっても、社内に連絡を回すよりも
世の中に「こうしまーす!」みたいなマス広告を出してしまうほうが
結果として強制力がついたりすることもある。
(新聞15段宣言広告とか、お詫び広告とか、そういうもの)
いわゆる目標宣言型Lifehackの超巨大版とでもいおうか。
TVCMが「本当にいらない」業種というのはなかなか少なくて、
一部の本とか音楽とかを除けば、極度に趣味性が高く、かつ個人だけで
判断して買うもので、セールスマンにハッパをかける必要もなく、
消費者側が合理的に選ぶ商品は少ない。
Webから広がった、新しい広告手法が盛り上がっているおかげで
かえってマス広告は相対化されて、こういう見直しが起こると思われる。
![]() | トヨタの正体―マスコミ最大のパトロン トヨタの前に赤信号はないのか 横田 一、佐高 信 他 (2006/06) 金曜日 この商品の詳細を見る |